FUT

オープンテクニック

当院ではシングルブレードナイフ(一枚刃のメス)を使用しドナー部の頭皮を帯状に切り取ります。またこの際にオープンテクニックという方法で切開します。

切開部をフックで開き、拡大鏡で毛根の位置を直接目で確認しながら、誤って毛根を切断しないよう毛根と毛根の隙間を縫うように少しづつ切開していきます。これにより毛根切断率を1-2%にまで下げることができます。医学文献で報告されている他の術式と比較して、最も切断率が低い術式の一つです。またドナーの瘢痕を最小限に抑えることができます。

日本の一部の植毛クリニックが使用しているような、マルチブレードナイフ(二枚刃のメス)は使用しません。マルチブレードナイフではオープンテクニックは行えないため毛根切断率が非常に高くなり、その割合は37%にも及ぶと言われています。

トリコフィティック縫合

ドナーの傷跡の上から発毛するように特殊な方法で縫合します。これにより傷跡がカモフラージュされ目立たなくなります。

ヘアライン・デザイン

患者様のご意見を伺いながら、患者様のお顔に最もふさわしいヘアラインをデザインします。生え際前列は細い1本毛が主で、奥に行くにつれ太い毛が徐々に増えていきます。そのような元々の状態を再現するため主に1本毛の株を生え際に植毛します。当院では植毛したことがバレない自然な生え際を作ることができます。

Selection of safe permanent donor area

AGAの影響を受けないドナー部から株を採取します。

AGAが進行してサザエさんの波平さんのような状態になっても最期まで髪が残る部分をセーフゾーンと言います。セーフゾーンからドナー株を採取、植毛することにより植えた髪が将来抜けてしまうことはありません。

局所麻酔注射について(Anesthesia (Painless Hair Transplantation))

局所麻酔注射がとても痛いと言われる植毛手術ですが、当院では各種の工夫で痛みを最小限に抑えております。

最新の麻酔用注射器と極細の針(30G)を使用し麻酔薬をゆっくりと注入します。

リドカインに7.5%の炭酸水素ナトリウムを加えて緩衝化することで酸性のpHを中和し、注射時の痛みを軽減させます。また、注射液を体温程度に温めることで不快感を軽減します。

注射をしている間、ナースやアシスタントが下肢のマッサージをすることで頭部の痛みに感覚が集中されにくくします。単純な方法ですが痛みの軽減にかなり効果的です。

株分けについて

切り取った帯状の頭皮を株分けします。毛根切断を避けるため顕微鏡下で行います。株はそれぞれ生えていた状態そのままに1本毛、2本毛、3本毛、4本毛のグループに分けられ、温度管理された株保存溶液中に保存されます。

First out-First in

First out-First inと呼ばれる方法で施術しています。株が体外で保存される時間を極力短くする方法であり、先に採取された株から先に植えていきます。

採取された株が体外で保存される時間は株数にもよりますが、約2-5時間です。

正確に温度管理がされている特別に設計されたアルミ製の保管容器に、1本毛、2本毛、3本毛の株をそれぞれ3つのグループに分けて保存します。

株の保存溶液について

体液に近い細胞内特性を持ち、体外での細胞の寿命を延ばす、独自に調製した株保存溶液を使用します。この溶液には、フリーラジカルを消去する成分、pH緩衝作用、浸透圧保持、低温で細胞内状態のバランスを保つエネルギー基質やイオンが含まれています。当クリニックで使用している溶液は、強力な抗酸化物質である還元型グルタチオン、マンニトール、アデノシンを含んでいます。独自の最適化された処方により、移植片の冷却および再加温時に発生する温度誘導性の分子細胞ストレス反応を緩和します。それにより採取された株の生存期間を大幅に延長することができます。

温度管理について

特注のアルミ製ヒートシンクとアイスジェルを使用し、断熱フォームで覆われたステンレスボウルに入れることで採取された株の保存溶液の温度を4~8度程度に保ちます。

スリット作成と株の植え付けについて

スリットを作成しその中に株を植えこみますが、スリットの作成は医師のみが行います。植毛された毛髪の密度、角度、方向が適切になるように作成します。

株の植え付けは多くのクリニックでは医師が関わることは少ないですが、当クリニックでは医師が看護師アシスタントと共に植え付けを行います。植え付けにはペン型のインプランターを使用し、株の損傷を防ぎます。